法制審・部会審議のスケール観

2009年10月28日の法制審議会総会において、「民法(債権関係)部会」の設置が決定し、翌11月24日から2015年2月10日までの5年余の間、全体会が99回、3つの分科会審議が18回で、合計117回の会議が開催されました。毎回5時間の審議で予定時間をオーバーし延長されることも多かったため、合計すれば、600時間以上の審議をした計算となります。今回の債権法改正のスケールがいかに大きかったかが分かります。1896(明治29)年に成立した明治民法・財産法の制定にあたっては、「法典調査会」において158回の会議が開催されましたが、今回の債権法改正では、物権法は検討対象外とされているにもかかわらず、117回の検討がなされているのです。

また、メンバー構成も、委員、幹事で40名弱、これに関係官やオブザーバー・随行を加えると80名近い大所帯の会議でした。この部会で幹事を務めた著名な民法研究者の方々が、その後の家族法関係や所有権・不動産登記法関係の改正に関する法制審議会部会の部会長を務めるなどしており、その点でもスケールの大きさが窺われます。

審議時間、審議回数、メンバー構成のいずれをみても、今回の改正が明治期の民法制定時以来の大規模かつ抜本的な改正であったことは一目瞭然です。まさに平成民法の誕生と言うべき一大事業であったと思います。

「平成の民の規律に込めたる心、その想いをば誰が知るらむ」