多くの事件を担当してきたことが
私たちの自信です。
これまでに取り扱った主な業務内容
1 町弁でありたい
当事務所の初代所長であった故遠藤光男弁護士は、司法研修所教官や最高裁判所判事などを歴任した著名人でしたが、どこにでもいる町の弁護士である(いわゆる町弁)であることに誇りを持っていました。私(高須)はその遠藤弁護士に育てられましたので、基本的には、町弁として幅広く対応することができる弁護士でありたいと思っております。
私が法政大学で、民法、民事訴訟法、民事執行法等の教鞭を取っていることがあり、また、法務省法制審議会民法(債権関係)部会の幹事を6年弱、務めたこともあり、刑事事件を扱う機会が減ってしまいましたが、それでも、民事、刑事、さまざまな分野について、多くの問題を扱っています。
それぞれに思い出に残る事件ですが、ここでは、私が訴訟代理人として、最高裁判所で弁論手続を行った事件について取り上げることにします。
2 新聞社の名誉棄損訴訟事件
ある刑事被告人の事件について、取り上げた新聞社の記事が名誉棄損に該当するとして、損害賠償請求をされた事件です。通信社から配信された記事を掲載したものでした。そこで、アメリカの判例法である、Wire-service defense (現在、配信サービスの抗弁と呼ばれています)を我が国の判例法理として導入することを求め、現に高等裁判所においてこれを認める判決をもらいました。残念ながら最高裁判所はこの法理を認めませんでしたが、アメリカの判例を勉強し、また、他の新聞社の同種事件を担当する多くの弁護士の方と協議を繰り返すなどしたことが、懐かしく思い出されます。
3 大学の学納金返還請求訴訟事件
大学入試合格者が入学手続を取る際には、予め決められた期間内に授業料等の学納金を支払う必要があります。これについて、かつては納入された学納金は一切、返還しないとの約定が締結されていました。これが2000年に制定された消費者契約法に違反するのではないかということで、全国の大学に対する返還訴訟が提起されました。最高裁判所の判断は、前払い授業料については大学に入学しない以上、返還すべきであるが、入学金については返還の必要はないというものでした。学納金として一律に論じるのではなく、その性質に応じた個別具体的な検討が必要であるとの主張が認められた判断となりました。制定間もない消費者契約法を、いち早く研究する機会に恵まれ、まさに事件を通して研鑽を積むことのできた裁判でした。
4 バブル崩壊後の賃料(地代)減額請求訴訟事件
高等裁判所で敗訴した事件を最高裁判所で逆転し、勝訴に導いた訴訟です。バブル景気の時代には、多くの企業が地主との間で賃貸借契約を締結するにあたり、賃料(地代)の自動増額条項を規定していました。数年に1回、予め決められた割合で賃料(地代)を増額するという条項です。バブルが弾けた平成の時代には、この条項が多くの企業を苦しめることになりました。約束した以上は増額に応じなければならない。これが有力な見解でした。しかし、バブル景気の頃に締結した契約は、その後の社会状況の変化によって、その内容が変更されることもある。いわゆる事情変更の原則に関わる問題ですが、これまで最高裁判所で実際に、この原則を認めた事例はないと指摘されていました。この訴訟は困難を極めましたが、最高裁はバブル景気の崩壊という事情があれば、賃料(地代)に関する契約合意も変更されると判断し、当方の主張を認めました。当時、新聞の一面でも大きく取り上げられた思い出深い事件です。
そして、この訴訟の経験が、現代の契約社会のあり方に関する私の問題意識を開花させてくれました。120年ぶりとなった民法債権法の抜本改正に従事し、これを全うできたのは、この事件で学んだところが大きかったと思っています。
5 そして、民法分野に特化した専門性ある事務所へ
このように、私(高須)は、数々の事件、大学及び法科大学院における教育、そして、法務省等における立法作業等を通じて、現代の契約社会のあり方について、強い使命感を持つようになりました。
とりわけ難解な法制度である詐害行為取消権に関しては、引き続き研鑽に努め、我が国におけるこの権利の発展に貢献してまいりたいと思っております。
そして、時効法を専門分野とする金山直樹客員弁護士の助力を得て、さらには当事務所に所属している気鋭かつ熱意にあふれる田村、藤原両弁護士と一丸となって、当事務所を民法分野において高い専門性を持った、他に代替することのできない法律事務所として活動してまいりたいと思っております。